ドン・チャドウィック
ともに1936年生まれのビル・スタンフとチャドウィックは、オフィス家具史上における最強のデザインデュオ です。
チャドウィックは家具職人である祖父の影響で家具作りに興味を持ち、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で工業デザインを学びました。1976年から1985年にかけては、UCLAで教授として教鞭をとっています。UCLA卒業後、建築事務所で働き、1964年に自身の設計事務所を設立しました。
1974年にHerman Miller社のモジュラー・シーティング・システムを設計し、その後、Herman Miller の元デザイン研究担当副社長である Bill Stumpf と協業がスタートします。
1976年のErgon chair (アーゴン・チェア) 、1984年Equa chair (エクア・チェア) に続いて、スタンフとチャドウィックはハーマンミラー社のパイロットプログラムのなかで「高齢者向けの快適な椅子」の研究に取り組みました。長い時間座っている人が皮膚障害を発症しないようにエアレーションを重視し、通気性の良いテキスタイルを採用したSarah Chair (サラ・チェア) のプロトタイプを開発しました。
このときの経験が後に Pellicle (ペリクル) と呼ばれる織りメッシュのテキスタイルを生み出します。
チャドウィックとスタンフのパートナーシップは、チャドウィックのマテリアルと製造プロセスへのこだわりと、スタンフの人間工学(エルゴノミクス)へのこだわりに基づいていました。
素材(ペリクルと呼ばれる全く新しいサスペンションテキスタイル)と人間工学(1から99パーセンタイルまでの体にフィットするように設計)は、開発当初から最重要視されていましたが、それに加えて長く使えることも重要でした。 その結果、高度な技術を駆使し、ほぼすべての人に適した、耐久性のあるチェアが完成したのです。
それが、アーロンチェアです。