ロバート・プロプスト
Herman Miller Research
1921年コロラド州生まれのプロプストは、グラフィックアーティスト、教師、彫刻家として1940年代後半にキャリアを開始しました。 1953年にはデンバーで製品開発専門のPropst社を設立しました。
1960年にはミシガン州アナーバーのHerman Miller Research Divisionの社長に就任。Herman Miller Research Divisionは、のちにHerman Miller Research Corporation となります。就任の際にプロプストは語っています。”現在のオフィスは不毛地帯です。活力を失わせ才能を奪い達成を困難にします。実現されなかった企画やむなしく失敗した努力が常態化しています”
最初のプロジェクトは、20世紀に進化したオフィスの評価でした。特に1960年代にどのように機能したかを評価することが重視されました。プロプストの調査には、人々がオフィスで働く方法、情報の移動方法、オフィスレイアウトが業績にどのように影響を与えるか、について学習することが含まれていました。
研究から20世紀の間に特に処理される情報の量の劇的な増加を考慮して、オフィス環境が大幅に変化したと結論づけました。従業員は日々の業務で、多くの情報の分析と整理をする必要がありました。にもかかわらず、オフィスの基本レイアウトはほとんど変化しておらず、従業員はプライバシーを欠いていた広いオープンルームに昔ながらのデスクを並べ整列していました。プロプストの調査はオープンな環境が、従業員間のコミュニケーションを減らし主体性を妨げていることを示唆していました。プロプストは、「今日のオフィスの残念な状況の1つは、すべての人に同一の決まりきったかたちを提供する傾向です」とコメントしています。さらに、従業員の身体は長時間座っているという状態に苦しんでいました。プロプストは、オフィスワーカーは、彼らが遂行している多くの業務に応じて、プライバシーと相互作用の両方を必要としていると結論づけました。
アクション・オフィス II
この問題に対するプロプストの答えが1968年に発表されたアクション・オフィス II (Action Office II)でした。アクション・オフィス II はオフィスシステム家具に革命を起こしました。アクション・オフィス IIは、モジュラーパネルユニットをベースにしていました。それぞれのコンポーネントは互換性があり標準化され組立とインストールが容易でした。また柔軟性が高くニーズが変化したときに作業環境を変更できることができました。デザイナーのJack Kelleyは、1960年代から1970年代初めまでプロプストと作業し多くのアクション・オフィス・コンポーネントの設計において重要な役割を果たしました。アクション・オフィス・コンポーネントの登場により、アメリカにおけるオフィスの景観は一変することになります。