「アーロンチェアは時代遅れ?」名作オフィスチェアは現代でも「最良の選択」なのか。
なぜ「時代遅れ」という疑問の声が?
1994年の登場以来、アーロンチェアは「高機能オフィスチェア」の定義を変え、世界中のエグゼクティブやクリエイターの座を支えてきました。しかし、現代において「アーロンチェアは時代遅れではないか?」という疑問の声を聞くことがあります。
その背景には、約30年という歴史の長さ、ライバルとなる高機能チェアの多様化、そしてモデルチェンジ前の「クラシック」モデルの中古品の多さなどが関係していると思います。
アーロンチェアの真価:クラシックとリマスタードの共通する普遍性
クラシック(旧型)とリマスタード(新型)が共通して持ち、アーロンチェアを「名作」たらしめている普遍的な価値は、発売から30年近く経った今も揺るぎません。
🧘 人間工学に基づいた「正しい姿勢」の追求
・キネマットチルト: 人間の足首を中心とした自然な回転軸に基づき、リクライニング時も身体がずれず、常にバランスの取れた姿勢を維持します。
・前傾チルト機能: PC作業など前のめりになる作業時に、座面ごと前傾させることで、腰椎への負担を軽減し、集中を促します。(※前傾チルトはオプションの場合があります)
💨 体圧分散と通気性に優れたフルメッシュ素材
・独自の高分子メッシュ**「ペリクル」**を採用。長時間座ってもお尻や背中に熱がこもらず、通気性抜群。また、座面全体で体圧を均等に分散するため、血行不良を防ぎます。
📏 3サイズ(A・B・C)展開による高い適合性
・体格に合わせてS・M・L(アーロンではA・B・C)の3サイズから選ぶ方式は、高機能チェアのパイオニアとしてのこだわり。自分の体にフィットする椅子を選ぶことが、快適性への近道です。
✨ 卓越した耐久性とリセールバリュー
・ハーマンミラーの徹底した品質管理と長期保証(リマスタードは12年保証)により、非常に高い耐久性を誇ります。その結果、中古市場でも高い価値を維持しやすく、「一生モノの椅子」として投資対効果が高い点も魅力です。
リマスタードへの進化
「クラシック」は名作ですが、現代のより多様な体型や働き方に合わせてハーマンミラーが再設計したのが「リマスタード」です。この進化には、大きな意味があります。
| 改善ポイント | クラシック(旧型) | リマスタード(新型) | ユーザーメリット |
| 腰部 サポート | 仙骨サポートまたは ランバーサポートの選択 | ポスチャーフィットSL 仙骨と腰椎を独立して より広範囲にサポート | 腰へのフィット感が向上。 より自然なS字姿勢を維持し 腰痛リスクを軽減 |
| メッシュ 素材 | 均一な張りのペリクル (クラシックペリクル) | 8Z(エイトゼット)ペリクル 8つのゾーンで張りの強さを最適化 | 体圧分散が格段に向上。 座り心地がよりマイルドかつ正確に |
| 操作レバー | 前傾チルトとリクライニング のロックが別々のレバー | 操作部の集約化 レバーがシンプルに統合され より直感的な操作性 | 煩雑さが解消され誰でも簡単に 設定変更が可能に |
| アームレスト | 角度調整が3段階 前後移動不可 | 角度調整が8段階に細分化 前後移動機能を追加 | PCやデスクとの距離に合わせ 肘をより精密な位置でサポート |
| リクライニング硬さ | ノブの回転数が多い 約50回転) | ノブの回転数を削減 (約14回転程度) | 細かい調整は維持しつつ 調整完了までの手間を大幅に短縮 |
現代の選択肢:クラシック/リマスタード、あえて競合を選ぶ基準
では、現代のユーザーはどのアーロンチェア、あるいは他のチェアを選ぶべきでしょうか。
📌 アーロンチェア(リマスタード)を推奨する人
- 長時間PC作業をするエンジニア、クリエイター、ゲーマー: 「正しい姿勢」を追求した設計は、集中力を維持し、健康を維持したいストイックなワーカーに最適です。
- 最新のエルゴノミクスと操作性を求める人: クラシックからの進化を評価し、最新の技術と長期保証(12年)の安心感を得たい人。
- リセールバリューやサステナビリティを重視する人: 耐久性が高く、資産価値も維持されやすい椅子への投資をしたい人。
📌 アーロンチェア(クラシック)を推奨する人
- 予算を抑えつつ、名作の基本性能を求める人: 中古市場でリマスタードよりも安価に購入し、メッシュの快適さや基本設計の恩恵を受けたい人。※中古品の場合、保証や部品の劣化状態に注意が必要です。
📌 他の競合チェアを検討すべき人
- 休憩時の「リラックス」を重視する人:アーロンチェアは基本的に「作業姿勢」重視です。休憩中に深くリクライニングして仮眠を取りたい、オットマンを使いたいという場合は、オカムラのコンテッサ セコンダやエンボディチェア(ハーマンミラー)、エルゴヒューマンといった、よりリラックス性や自由な動きに特化したチェアが適しています。
- デザイン性や「包み込まれる感」を重視する人:アーロンチェアは機能美を追求していますが、身体を包み込むようなクッション性や、流線的なデザインを求める場合は、セイルチェアやVitraのオフィスチェアなども検討に値します。
時代を超越した名作の現在地
「アーロンチェアは時代遅れか?」という問いへの答えは、明確に「否」です。
1994年のクラシックは、それ自体が普遍的な名作です。そして、2017年のリマスタードは、その名作を現代の技術で徹底的に磨き上げました。
ワークスタイルが「正しい姿勢で集中する」ことを最も重視するならば、リマスタードは今もなお「重要な選択肢のひとつ」といえるでしょう。




