ギルバート・ローディ
Gilbert Rohde 1894-1944
1930年、ギルバート・ローディは問題を抱えていました。ローディには家具デザインに関するアイデアが溢れていました。けれど、そのアイデアを製品として製造し販売してくれる家具メーカーがありませんでした。そんな折に、ローディはD.J.デプリーと出会います。当時、D.J.デプリーも問題を抱えていました。彼の会社ハーマンミラーは、世界恐慌のあおりで会社が危機的な状況だったのです。生き残るためには大きな武器が必要でした。
新しい時代とともに、アパートや小規模住宅用に住む人々が増えている、とローディはデプリーに語りました。
ローディ “だから、これまでとは違った家具が必要なんですよ!”
デプリー “えっ!じゃぁ、そんな家具ハーマンミラーのためにデザインしてくれる?”
ローディ “もちろん!”
ハーマンミラーとの契約を締結したローディはコンパクトな生活空間に対応した家具をデザインします。ローディは、カードテーブルにもなるダイニングテーブル、ベッドになる長椅子、本棚を収容したテーブルなど、一つの家具に複数の機能を持たせることを好みました。
エグゼクティブ・オフィス・グループ
そして1942年、エグゼクティブ・オフィス・グループ (EOG) の導入によりハーマンミラーはオフィス家具市場に参入します。エグゼクティブ・オフィス・グループは、シンプルで装飾のなモジュール式の製品で200以上の組み合わせとバリエーションから選択可能な製品群でした。ローディは、ハーマンミラー製品の多様性と有用性を強調しました。
エグゼクティブ・オフィス・グループのコンセプトは、現在のオフィス家具の原型ともいうべき革新的なコンセプトでした。ただ当時としては、あまりにも先進的なコンセプトであったため知識不足の小売業者には販売が難しい事態が起こりました。そのためハーマンミラーは、製品に関する訓練を受けた人材を配置したショールームを開設し普及に努めました。
1944年にローディは亡くなります。しかしローディが切り開いたモダンで生産性の高い家具、そしてモジュール式オフィス家具の製品コンセプトは、後任のジョージ・ネルソンに受け継がれ20世紀を代表するデザイン家具製品たちへと発展してゆきます。