アーロンチェアの誕生
1994年に発売されたアーロンチェアは、デザイナーのビル・スタンフとドン・チャドウィックが高齢者が長時間座ったままでいるときのニーズを調査するハーマンミラーの研究プロジェクトに関わったことから始まりました。彼らは4時間座り続けた時にチェアと身体との間にこもる熱が大きな問題の一つとなることを発見しました。スタンフとチャドウィックが新しいワークチェアのデザインについて考え始めた時、この発見が大きく関与することになったのです。
「私たちは、まったく新しい種類のチェアを開発したいと思いました」と、スタンフとチャドウィックは語っています。そのため、彼らは人間工学的なワークチェアのデザインや機能のあるべき姿についての先入観をすべて捨て去ることにして、白紙の状態からスタートしました。その結果誕生したのが、オフィスチェアという概念そのものに革命を起こす製品でした。
布張りもされていなければ、中のウレタン材もなく、クッションに代わるメッシュ素材ペリクルサスペンションが空気を通し、長時間座り続けても熱がこもりません。アーロンチェアには直線のラインが一つもありませんでした。人間の身体は直線からできていないからです。スタンフとチャドウィックがデザインした曲線からなる形状は、体重による圧力を自然に分散し血流が妨げられることはありません。